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研究内容Research

 光と物質の相互作用に起因した物理現象を研究対象としています。特徴のある構造・電子スピン秩序・光学特性を持った物質系を対象に、将来のテクノロジーを支えうる新しい物理原理や機能の開拓を目指しています。
 具体的には、マルチフェロイック物質・メタマテリアル・磁性半導体・強相関電子系物質などの電気/磁気/光学的に興味深い性質を有する物質、およびこれらの物質系の特性を合わせ持つハイブリッド材料を対象に、「非線形スピンフォトニクス」の開拓や、「光スピントロニクス」・「電気−磁気−光応答」などの研究を行っています。

対象とする物質系Target Materials

マルチフェロイック物質Multiferroics

 強誘電性(Ferro-electric)、強磁性(Ferro-magnetic)、強弾性(Ferro-elastic)などの性質を複数有する多機能物質。フェロイック(Ferroic)とは、物質中の電気的、磁気的、弾性的な偏りが巨視的に向きを揃え、長距離秩序を作っている様子を指します。複数の異なる秩序がある場合をマルチフェロイック(Multi-ferroic)と呼び、そのような性質を持つ物質をマルチフェロイック物質(マルチフェロイクス)と呼びます。最近では、強誘電体であり同時に磁気秩序も示す物質を指すことが多くなっています。
 マルチフェロイック物質の重要な性質は、秩序間の相互作用によって一つの秩序を外場で変調させたとき、別の秩序も変化することです。このような特性により、従来材料とは異なる画期的な機能を持った電気磁気デバイスや、新しい原理の光エレクトロニクス機能など、従来の科学技術ではなし得なかった新機能の創出が期待されています。

メタマテリアルMetamaterials

 自然界の物質では不可能な電磁応答を可能とする人工物質。近年の微細加工技術の発展により、光(電磁波)の波長よりも小さな構造を持つサブ波長人工物質(メタマテリアル)を作製し、物質固有と考えられてきた光(電磁)応答を人工的に制御することが可能となってきました。このようなメタマテリアルを使うと、例えば、負の屈折、完全レンズ、クローキング(透明マント)など、これまで不可能だった新しいテクノロジーの開発が期待されています。

磁性半導体Magnetic Semiconductors

 半導体の持つ電気的な性質と磁性材料が持つ磁石の性質(スピン)を併せ持つ物質。磁気的性質と電気的・光学的性質が絡み合っているため、磁気秩序を制御することで電気的・光学的性質を制御したり、逆に、電気的・光学的に磁性を制御することが可能になります。次世代スピン機能物質の有力候補として注目を集めています。

強相関電子系物質Strongly Correlated Electron Systems

 電子の電荷・スピン・軌道自由度の制御により新物性が発現する物質。電子の密度が非常に高い物質では、半導体や金属の自由電子のように自由に振る舞えず、電子同士が互いに強く相互作用し合います。このような物質系を強相関電子系と言います。銅酸化物をベースとした高温超伝導や、マンガン酸化物における超巨大磁気抵抗効果は強相関電子系物質が示す多彩で劇的な現象の典型的な例で、電子が持つ電荷・スピン・軌道の自由度を制御することで、従来の半導体エレクトロニクスを凌駕する電子デバイスになる可能性を秘めています。

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非線形スピンフォトニクスNonlinear Spin Photonics

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 光と物質の非線形相互作用を積極的に利用すると、物質中の電気分極や磁化(スピン)、フェロイックな物質のドメイン構造、電子エネルギー準位などに関する詳細な情報を得ることができます。これにより、様々な物質の分光測定、ドメインイメージング、超短パルスレーザーとの組み合わせによる超高速ダイナミクスの検出などが可能になります。
 また、メタマテリアルを用いて非線形光学効果を人工的に制御する方法や、対称性を人工的に設計することで光により電流やスピン流を生成・制御する新規な手法を研究しています。

  キーワード: 非線形(磁気)光学、磁気光学、波長変換、対称性、(磁気)プラズモン、トロイダルモーメント、イメージング、ドメインエンジニアリング、光電流、スピン流

参考

マルチフェロイックドメインを光により可逆的にスイッチングする新原理を発見(マルチフェロイック物質) [Nature Photon. 2016, プレスリリース 2016]
マルチフェロイックドメインの電場・磁場制御と実空間観測による新しい電子機能の発見(マルチフェロイック物質) [Science 2015, 固体物理 2016, プレスリリース 2015]
非線形光学応答における巨大なファラデー効果の観測(磁性半導体) [PRB 2012]
空間反転対称性を持つ磁性体における磁化誘起第二高調波発生の観測(磁性半導体) [PRB 2010, JAP 2011]
磁化と電気分極の超高速ダイナミクスを同時に測定する技術を開発(マルチフェロイック物質) [PRB 2009]
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光スピントロニクスOpto-Spintronics

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 近年、データストレージの高密度化やデータ読み書き速度の高速化に対する強い要請から、超高速で電子スピンを制御する新しい技術の開発が求められています。既存技術の枠組みを超えた、フェムト秒レーザーパルスを用いた(超高速)電子スピン制御の研究を行っています。

  キーワード: 光スピン制御、超高速ダイナミクス、磁気光学、非線形(磁気)光学、光誘起相転移、イメージング

参考

マルチフェロイックドメインを光により可逆的にスイッチングする新原理を発見(マルチフェロイック物質) [Nature Photon. 2016, プレスリリース 2016]
キャリア密度制御による超高速磁気制御の実現(磁性半導体) [ Nature Commun. 2015, プレスリリース 2015]
磁化と電気分極の超高速ダイナミクスを同時に測定する技術を開発(マルチフェロイック物質) [PRB 2009]
光誘起反強磁性-強磁性転移の実現(強相関物質) [PRL 2007, PRB 2008, JPSJ 2009]
超高速スピンダイナミクスの検出(強相関物質) [PRB 2003, PRL 2007]
リラクサー磁性体における永続的光誘起磁化の実空間観測(強相関物質) [APL 2002]
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電気‐磁気‐光応答Magneto-Electro-Optics

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 空間反転対称性が破れた磁性体においては、従来の磁気光学効果や電気光学効果とは異なる、磁性と誘電性の結合した特異な電気‐磁気‐光応答が発現します。電場や磁場で制御できる光の吸収・反射・発光・屈折・回折や非相反光学応答(光を入射する方向により光学応答が異なる効果:極端な場合、物質を一方から眺めると透明で、もう一方から眺めると真っ黒に見える)など、これまで知られている光学応答とは異なる興味深い現象が予想され、また実際に観測されています。
 マルチフェロイック物質やメタマテリアルを用いて、効率的に電気‐磁気‐光応答を増強する方法を研究しています。

  キーワード: 電気磁気光学、非相反光学、磁気光学、電気光学、電気磁気効果、時間・空間反転対称性の破れ

参考

光吸収における電気磁気光学効果の観測(マルチフェロイック物質) [PRL 2004]
発光における電気磁気光学効果の観測(マルチフェロイック物質) [APL 2006]
人工構造を用いて電気磁気光学効果の増強に成功(マルチフェロイック物質) [PRL 2006]
共鳴X線電気磁気散乱の検出に成功(マルチフェロイック物質) [JPSJ 2005]
結晶中の空間反転対称性が破れたサイトのスピン情報を元素選択的に検出(酸化物磁性体) [PRB 2005, PRB 2009]
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メンバーMembers

2017年度メンバー

富樫 拓也(大学院修士課程2年)
佐藤 佳史(大学院修士課程1年)
小林 隆嗣(学部4年)
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